塗装できないサイディングはどうする?
外壁材は塗装するのが当たり前だと思っている方もいますが、塗料を塗る必要のないサイディングボードも存在します。塗装が不要なサイディングボードに塗装してしまうと、きちんと塗れないどころか、外壁材を台無しにしてしまうことがありますので注意しなければなりません。
最初からコーティングされているサイディングボード
サイディングボードは、工場で予め生産され、一定の品質を持つ外壁材のパーツです。建築現場までボードを運び、組み立てや貼り付けを行うだけで立派な外壁材が完成します。
建築現場での手間や工程を省くために、予め光触媒、フッ素や無機などの耐久性の高い樹脂でコーティングされていることがあります。こうした塗料は、汚れを寄せ付けず、雨で洗い流す機能や光触媒により汚れを分解できる機能などがついています。
機能性が高い塗料ですが、後から塗料を塗ったわけではないので、元の塗膜を剥がさずにサイディングボードの上から塗装すると、塗料が密着しにくいというデメリットがあります。
こうした外壁材は、「難付着サイディングボード」とも呼ばれていますが、表面のコーティング剤をしっかりと剥がしたうえで再塗装しなければなりません。
難付着サイディングボードに塗装する場合
必ず専用の下塗り塗料を使用します。難付着サイディングボードは、塗装不要だとか、メンテナンスがいらない、耐久年数が30年もある、などという説明を行う塗装業者もありますが、年数を数えるほど、経年劣化が進みますので、最終的には張り替えなどの交換工事が必要となってくるでしょう。
注意点は、難付着サイディングボードを見分けられるかどうかです。塗装職人や塗装業者のスタッフが判断を誤ると、一般的な下塗り材を使って塗装しますので、数年で塗膜が剥がれるなどの塗装に関するトラブルが増えます。
こうしたトラブルを避け、塗料の密着度を高めるために、有機、無機の両方の下地材に対応したエポキシ系シーラーを使用することがあります。
耐久年数が短い屋根材や外壁材は交換する
屋根材の話になってしまいますが、アスベストを含んだスレート屋根や耐久年数が10年以内のスレート屋根も存在します。塗料の耐久年数が向上した現在では、再塗装メンテナンスをするよりも、屋根材そのものを交換するような葺き替え工事や重ね葺き工事を実施したほうがその後も長持ちします。
新しい素材を検討している方は、新しい素材は実績もなく、初期不具合もまだ出そろっていないので、安価で優れた屋根材・外壁材だと思ってもすぐに手を出すのはやめましょう。
新築時は、ある程度の施工実績のあるサイディングボードや屋根材の採用をオススメします。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。