なぜ無機塗料?高耐久性以外のメリットは?
無機塗料といえば、高性能、高耐久性のハイグレード塗料です。予算があれば、無機塗料を選べば間違いがない、というわけではなく、有機塗料とよく比較し、お住まいに対応した塗料選びを行うべきでしょう。
無機塗料といっても有機樹脂を使用
完全な無機塗料というものは存在しません。セラミック塗料と同じように、鉱物や天然石などの無機物を材料に加え、有機樹脂に混合した塗料を指して「無機塗料」としています。
鉱物や石は、天然成分ですが、経年劣化しにくく、何十年も使えるはずです。しかし、無機塗料は、有機樹脂をベース塗料として使用しているため、必ず経年劣化し寿命があります。
多くは、シリコンやフッ素に無機物を混ぜた塗料が無機塗料として販売されており、無機の場合の耐久年数は同等か数年は延びています。無機塗料もピンキリですが、使用実績がないようなマイナー系の無機塗料をあえて選ぶ必要はないでしょう。
無機塗料のメリットとは?
・高い耐候性
耐候性は、耐久性と似たような意味ですが、紫外線、雨や風などの厳しい自然環境から外壁を長期間保護し表面の光沢を維持する性能のことです。シリコンやフッ素に無機物を配合すると、耐久性と耐候性の両方が高まります。
・高い防汚性
無機塗料は、汚れを落とすのではなく、汚れがつきにくい性質の塗膜を形成します。
無機物の高い親水性が、汚れの付着を予防しています。水となじみやすく、雨が降ったときに表面の汚れと塗膜の間に水が入り込み汚れが落ちやすくなっています。
また、無機物は、静電気を起こしにくいので、小さなゴミや埃が付きにくくなっています。
・不燃性を持つ無機塗料
無機物である天然石や鉱物は、燃えにくい性質を持っています。こうした燃えない、燃えにくい性質のことを、不燃性や難燃性と呼びます。
無機塗料を選ぶときの注意点
無機塗料は、フッ素塗料よりも価格が高くなり、グレードもワンランク上です。つや消しタイプがなく、塗装後の仕上り品質は、職人の技術力に大きく左右されます。未熟な職人が作業すると、ひび割れを起こすことがあります。
通常塗装よりもお金をかけて塗装しますので、シリコン系塗料に比べると使用機会や実績も少ないのが現状です。また、無機塗料の定義が難しく、塗料メーカーにより配合されている無機物の種類や量がさまざまです。
30年以上耐久性がある、半永久的に使えるなどの理由で強力に営業する悪徳業者や強引な訪問業者に注意してください。
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一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。