塗装前の重要な下地処理、クラックひび割れ補修
クラック（ひび割れ）は、外壁素材や塗料によっては発生しやすい性質のものもあり、経年劣化すると必然的に数多く発生します。
塗装前の下地処理では、外壁材の内部の腐食を防ぐためにも、しっかりとクラック（ひび割れ）補修を行い、雨水や湿気の出入りを防いで、外壁や建物内部を保護します。
今回は、下地処理で行われるクラック（ひび割れ）補修についてみていきましょう。
クラック（ひび割れ）はなぜ起こる？
窯業系サイディングボードでもクラックは発生します。サイディングボードは、板状の外壁材ですが、サイディングを固定する釘回りが最もひび割れしやすい箇所です。釘で固定された部分は、地震や強風で外壁材が揺れて動いた時に、無理な力が加わり、ひび割れが起こります。
また、屋根の場合は、スレートが突風などでひびが入り、ひびが大きくなると、欠けたり、割れたりします。隙間から雨水が浸入して雨漏り被害につながりますので、早期にシーリング補修などが実施されています。
クラック（ひび割れ）の補修方法
クラックの大きさや深さなどにより、補修方法が異なります。
ヘアークラックなどの微細なひび割れは、防水補修材を塗り込んで補修できます。
小さなひび割れでも、内部にまで深く切り込みが入っているような状態なら、補修しやすいようにクラックの周辺部分を削り取って、V字やU字の状態にしてプライマーを塗布し、コーキング充填することで、隙間がなく、ズレが少なくなる補修方法です。
補修箇所を広げる理由は、奥まで隙間なくコーキング剤を充填し、コーキングの厚みや幅を増して強度をアップさせるためです。
サイディングそのものの経年劣化が進んでいない場合は、クラック（ひび割れ）を見つけたら、すぐに適切な補修を実施することで、湿気によるカビの発生や雨漏り被害などを予防することができます。
クラック補修は、1平米あたり1700～2500円かかるようです。補修箇所は少ないので数万円で済みますが、足場を使うと工事費用が20万円以上かかることがあります。
塗装前などには必ずクラック補修が行われますので、屋根や外壁塗装と同時に行うものと考えておきましょう。
クラック補修後の塗装に注意
塗膜のクラック（ひび割れ）が発生しやすい場合は、塗料の選択にも注意し、弾性塗料を使って塗装すべきです。
外壁材に亀裂が入っても、塗膜が伸びて、ひび割れしにくくなります。
弾性塗料を使った塗装は、複層や単層などの施工方法があります。弾性塗料にも微弾性塗料が存在し、ひび割れの程度に応じて施工法や使用塗料を変えなければならないでしょう。
このように、クラック補修やそれに伴う塗装には、多くの経験や深い知識が必要とされます。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。