外壁に起こるクラックの補修方法
外壁材は、クラック(ひび割れ)が起こりやすい素材もありますが、クラックが発生する原因も決まっており、補修方法にもいくつかのパターンがあります。
塗膜の耐用年数が長くても、防水性能が低下すれば、クラックから雨水が浸入し内部を腐食させる恐れがあります。ここでは、外壁に起こるクラックの種類と補修方法について解説していきます。
クラックの大きさにより異なる補修方法
クラックの種類は、大きく二つに分かれています。塗膜に発生しやすい「ヘアークラック」、外壁材に発生する「構造クラック」や「乾燥クラック」などです。
ヘアークラックは、髪の毛のような細い筋のクラックです。多くは塗膜の経年劣化によるものが原因です。構造クラックは、建物の構造が主な原因となるクラックのことです。
発生原因にはいろいろあり、建物の揺れや土地の不同沈下、凍害など、建物の揺れや歪みが強く、耐えきれなくなって外壁材そのものに大きなクラックが発生します。
乾燥クラックは、比較的軽度のひび割れです。例えば、モルタルが水分を吸収し、乾燥や蒸発を繰り返して収縮するときにひび割れが発生します。施工不良なら、塗装作業の後に十分な乾燥時間を取っていなかったときに乾燥クラックが生じる可能性があります。
外壁材のクラックは塗膜にも発生しますが、モルタル、サイディング、鉄筋コンクリートの外壁など、どんな外壁材でも発生する可能性があります。
小さなクラックならDIY補修も可能
ヘアークラックや幅の小さなクラックを見かけたら、様子を見ながら補修方法を検討すべき時期になっています。ヘアークラックは、幅0.3ミリ、深さ0.5ミリ以内のひび割れです。塗り替えでも補修可能です。
乾燥クラックは幅の狭いひび割れのことです。これらの軽微なクラックは、DIY補修も可能です。クラックの幅が1ミリ以上になったら、修理業者にクラック補修を依頼してください。
ヘアークラックの補修方法
事前に汚れや苔、藻などを高圧洗浄機などでしっかりと洗い落とします。塗装の場合は、下塗りで微弾性フィラーを使用するとクラックの溝を埋めることができます。
また、スプレータイプのセメント材やパテでクラックを埋める方法もあります。クラックにシーリング材を充填し、乾燥後、塗料で塗装する方法もあります。
DIYでヘアークラックの部分補修を行うと、材料代や養生代を合わせても数千円の費用で補修が済みます。
幅が1ミリ以上の構造クラックの補修方法
表面に見えるクラックの大きさだけが問題になるのではなく、下地材などにも雨水が浸入し、内部の木材が腐食している場合があります。大きなクラックを見つけたら、すぐに専門業者に点検と修理の相談をしたほうがいいでしょう。
構造クラックの補修方法では、カット工法(UまたはV)を行っています。クラック部分をUやVにカットし、清掃した後にプライマーを塗布し、乾燥後にシーリング材を充填します。
一定時間経過し、乾燥した後に表面を調整する目的でフィラーを塗装し丁寧に仕上げます。鉄筋コンクリート外壁の場合は、高い耐久性が求められますので、セメントやエポキシ樹脂などを注入して補修を行います。
専門業者に構造クラックの補修を依頼すると、シーリング材の打ち替えや足場代などが余分にかかります。部分補修だけなら、1mあたり1000~4000円程度の費用で済みます。
しかし、部分塗装ではなく、外壁全体の塗装工事を行う場合は、80万円以上の費用がかかることがあります。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。