環境のことを考えるなら水性塗料も検討対象に
屋根や外壁用の塗料には水性と油性があります。油性のほうが昔から使用されてきたこともあり、使用実績も豊富ですし、性能もよいと言われています。
しかし、環境のことや作業の安全性に重きを置くなら、あえて水性塗料を選ぶ方が増えています。
水性塗料の特徴
水性塗料は、顔料、樹脂、添加物などの塗料の原材料を溶かしている液体が水である塗料のことです。同じように、油性塗料は、原材料を溶かしている液体がシンナーなどの有機溶剤になっています。
水性塗料は、シンナーなどの人体に有害な溶剤を使わずに、水だけを使って薄めます。揮発性有機化合物(VOC)は、揮発するときの臭いが強く、人体や環境にも悪影響を及ぼすことがあります。
こうした理由から、あまり臭いがしない水性塗料に切り替える方が増えています。
水性塗料のメリットとデメリット
水性塗料のメリットは、臭いが少なく、その臭いがあまり気にならないことです。しかし、全くの無害ではありませんし、施工中は換気をしっかりと行う必要があります。
価格もリーズナブルで、害が少なく保管ができるので施工業者も安心して利用しています。水性塗料のデメリットは、価格が安いだけに寿命が短く、耐久性に劣る点です。
鉄部塗装には不向きで、下地材によっては水性塗料が使えない場合もあります。塗装時の天候にも左右され、低温時や雨天時は塗装作業が中止になってしまいます。
さらに、油性塗料のような美しいツヤや均一な塗膜ができにくいというデメリットもあります。
水性塗料は確実に進化している!
塗装といえば油性塗料が絶対おすすめ、という時代もありましたが、環境や人体の影響を考えて、新たに水性塗料が登場し、日々の研究開発の結果、進化し続けています。
同じグレードの塗料にも油性塗料と水性塗料の2タイプがラインナップされていることがありますが、光沢などのツヤの保持では、油性塗料の方が高性能です。同じ程度の耐用年数でも年数を経過するごとに少しずつ性能に差が生じ、結果として水性塗料よりも油性塗料のほうが耐久性が高いという結果になっています。
耐久性や防汚性を重視して考えるなら油性塗料ですが、水性塗料は臭いがあまりしないため、職人や近隣住民、ペット、赤ちゃん、高齢者などに与える悪影響が軽減されます。住宅密集地や一時的な移転や引っ越しができない場合は、どうしても水性塗料を選ばざるを得ないでしょう。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。