タスペーサーは必ず使うもの?
屋根塗装の見積書では普段見かけない項目や用語を見かけることがあります。縁切り目的で使うタスペーサーもその一つです。
一般の住宅だと1000枚近いタスペーサーを使用することがあり、使用数や費用には要注意です。タスペーサーを使わない場合は、その多くが縁切りが不要なケースです。
今回はタスペーサーに焦点を当てて、本当に必要なものかどうかについて検討していきましょう。
屋根塗装の縁切り作業がスムースになるタスペーサー
屋根の塗装をするときには、塗装後の縁切りがとても重要な作業です。
スレート屋根の場合、一枚の屋根は上に重なるように設置されており、上下の屋根にはわずかな隙間があります。塗料によっては、塗装後にこの隙間を塞いでしまうことがあります。
一日かけて行う従来の縁切りでは、職人が手作業で塗料の詰まりを切り取る作業を行います。
縁切りの問題点は、塗料が乾いた後に職人が屋根に昇り、皮スキやカッターを使って再度作業しなければならないことです。既に塗り終えた屋根の上を汚したり、瓦を割ってしまったりするリスクが高くなります。
タスペーサーなら、1~2時間程度の作業時間で済み、時間も短縮でき塗装後のトラブルもなくなります。
タスペーサーの使い方
タスペーサーは、下塗り作業後の乾燥後や塗装前洗浄後の乾燥後に使用されています。タスペーサーを挿し込むだけですので、塗装や洗浄の作業の途中でも短時間で作業が可能です。
人件費を節約でき、1000枚程度のタスペーサーを使用しても2~4万円程度の費用で済みます。
また、タスペーサーは、日本瓦や金属屋根で使用されるケースは少なく、多くはカラーベストやコロニアルなどのスレート屋根でよく使われています。
その他の屋根であっても、縁切りが必要と思われる屋根ならタスペーサーを使うことは可能です。
タスペーサーを使わないケースとは?
スレート屋根以外ではタスペーサーを使うケースは少ないといえますが、築年数が10年以上のスレート屋根の場合は、経年劣化による反りで隙間が5ミリ以上空いていることもあり、タスペーサーを使う必要がない場合があります。
また、油性塗料は水性塗料よりも屋根材に浸透しやすく、塗料が隙間に溜まらないので隙間を塞ぐことはありません。そのため、油性塗料を使用する場合は、タスペーサーを使わないことがあります。
逆にいえば、水性塗料を選んだ場合や前回の使用塗料が水性であった場合は、塗り替えでも水性塗料を選ぶことになりますので、必然的に塗装業者がタスペーサーを使うケースが多くなってしまいます。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。